2011年10月3日月曜日

RRS 18.3 マークに近づく場合のタッキング

 3年前のルール改正で、聞きなれない「フェッチング」や「ゾーン」という言葉が登場したこの規則。規則の内容自体に変更は無かったものの、その意図をより明確に改正したものです。日本テーザー協会練習会で開催したルール講習会でも、題材として取り入れられらえたように、「重要な規則の一つ」に位置づけられています。

 艇Aが、スターボードタックのクローズドホールドで上マークにアプローチしています。すでに、A艇はラムラインに乗っており、そのままマークに達するコトが出来る状況です。この状況を、「A艇はマークをフェッチングしている」と表現します。
 艇Bが、ポートタックのクローズドホールドで艇Aに近づいています。艇Bの方が先行していますが、艇Aの前を横切るだけのリードはありません。
 艇Bは、艇Aの風下前方でタックして、スターボードタックとなりました。いわゆる、「リーバウタック」を行いました。
 結果、艇Aと艇Bは、共にスターボードタックのクローズドホールドでオーバーラップしながら、マークに近づいています。が、艇Aはそのままマークをかわせそうですが、艇Bはクローズドホールドよりも一瞬ラフィングしないと、マークをかわせそうにありません。両艇は接近しているため、艇Bがラフィングするためには、艇Aもラフィングしなければ接触してしまいます。
 艇Bはクロードホールドよりラッフィングして、艇Aをもクローズドホールドよりラフィングさせてマークを回るコトが出来るのでしょうか?
 できる場合と、出来ない場合があります。それは、「艇Bがタックを完了した位置」に依存します。「ゾーンの外(デフォルトではマークから三艇身)でタックが完了したか否か」に依存します。
 ゾーンの外でタック完了した場合。「艇Aは艇Bにマークルームを与えなければならない」ので、艇Bは、艇Aにクローズドホールドよりラフィングさせて、マークを回航するコトが出来ます。艇Bがマークを回るためにラフィングしたら、艇Aはそれに応じてラフィングしなければなりません。
 ゾーンの中でタック完了した場合、「艇Aをクローズドホールドより風上に帆走させることはできない」ので、マークを回航することは出来ないことになります。
これは、非常にポピュラーな例で、
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-5099.html
にも、図入りで解説されています。
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 先日のオータムレガッタにおいて、上記そのもののケースを目撃しました。私の目には、「タック完了は明らかにゾーン内」であって、マークを回航するために風上艇に「明らかにクローズドホールドよりも風上」に帆走させました。
 しかし、件の風下艇はペナルティターン無しにフィニッシュしました。
 風下艇が「ゾーンの外でタックを完了した。」と判断なさっているなら、風下艇には何の問題もありません。反則はなかったと認識しているのですから、そのまま走り続けてアタリマエです。風上艇が抗議して、審問が開かれたときに、そう主張すればよいことです。スポーツンシップに則った行為です。多分、今回はこのケースだったのだろうと思います。ゾーン内かどうかは、海面に線がひいているわけではないので、判断は微妙です。レース委員会か他艇の証言でも得られない場合、審問でもなかなか判断が難しいところです。
 風下艇が「このルールを知らなかった」ならば、レース中の行為としては「反則の認識が無かった」のですから、これまた風下艇としては正しい行為です。しかし、フィニッシュ後、または陸に上がって、あるいは帰宅して、「自分は反則した」ことに気付いたならば、「リタイヤ」することが求められます。RRSの冒頭に「スポーツマンシップと規則」として、RRSの大前提としてそう記されています。
蛇足ですが、リタイヤのスコアリングコメントは「RAF」。リタイヤド・アフター・フィニッシュ。フィニッシュ後にリタイヤしたことを示します。途中でレースをやめたケースは、単なる「DNF」ドンドフィニッシュです。
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「違反か違反でないか」、両艇で判断が分かれた場合、陸に上がってから、まず声をかけて、「なぜ違反と思ったのか」「なぜ違反ではないと思ったのか」を確認しましょう。
 その結果、「違反であった」場合と納得しなたならばリタイヤ。「違反ではなかった」と納得したならば、そのまま。意見が分かれた場合には、抗議書を提出して、判断をジュリーに委ねましょう。
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 今回のケースでは、風上艇は「規則違反があった」と認識していたものの、抗議書の提出はありませんでした。
 「面倒」な気持ちがあることは理解しますが、例えばワールドに参加して「いきなり審問になる」という経験をする方が、意外に多くいらっしゃいます。海外では、違反があったと認識した場合は、抗議書を提出するのが一般的です。
 「日本艇は、審問がヘタだ」という状況が生まれているようです。日ごろ出ている国内のレガッタでの、審問経験が無いのですからアタリマエです。初体験が「英語での審問」であれば、なおのことです。
 ぜひ練習の意味も含めて、「違反があった」場合には抗議書を提出して、審問を実施していただきたいと思います。その結果は、可能であればジュリーに審問の内容と、判断の基準。そして、「このような主張があれば、判断は変わったかもしれない」という、キーポイントの解説頂くことで、他の参加者にも共有するコトが出来ます。
 日本テーザー協会では、「セーリングスキル」向上はもちろん、「規則を活用して有利にレースを展開する」「ルールを理解しフェアなレースをする」、そして「審問でも勝つ」よう、ルールを理解する機会を今後も作っていきたいと考えています。
田口 裕介













1 件のコメント:

  1. 池田です。
    貴重なご意見ありがとうございます。
    本音は田口さんの言うとおり「面倒」な気持です。
    しかしこれではいけない、ル-ルをもっと勉強し
    クロ-ズ、フリ-、と同じようにル-ルも練習しないと
    いけないと痛感しました。感謝します、又よろしく。

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