第2回関西練習会ミーティングの概要
10月17日、芦屋において関西では2回目となる練習会が開催されました。和歌山、大阪北港、芦屋から10チームが参加し、微風~軽風のコンディションで、基本動作を中心としたビデオ撮影、短めの上下コースで5本のレース練習を行いました。運営艇として芦屋フリート、安澤さんのココキャットが活躍し、安澤キャプテン、中川さん、植田ジュニア、田中が練習をサポートしました。
海上練習後のミーティングでは、3チームの動作映像を見ながら良い点や改善点などについて田中よりコメントしました。
(ビデオ撮影の概要)
目標となるマークを1個設置し、これを下マークに見立ててランニングからのラフを風上側から撮影。その後、スピード回復のための間をいれながらタックを5回、船尾方向から撮影。次に、スターボ・クローズからランニングにベア、ウィスカアップ、落ち着いたらジャイブを入れるが、これを横方向から撮影。最後に、ウィスカダウンし、マーク廻航、タック1回を行い、撮影終了としました。これらを1艇毎に全艇について行いました。
(事例とした3艇の動作のポイント)
<池田艇>
・ゆっくりとしたカーブ軌道のタック。スピードロスが少ない。
・微風上りでのセールカーブが良い(適度なリーチツイストと深さ)。
・ベアでセールが十分展開できていない。ジャイブも同じ。
<石川艇>
・ロールタックでスキッパーが風上に移動しながらトラベラーを引いている。
・下マーク廻航が適度なヒールで良く加速している。
<南屋艇>
・上りでのバランスが良い(わずかなヒール)。
・ロールタックではクルーの体重移動が効いている。
・メインセールのリーチが閉じすぎ、やや浅い。
(各動作のポイント)
○ランニングからの下マーク廻航
・マークへのアプローチは、マークに対してどの位置をねらうか、ポイントを設定してアプローチする。マークアプローチは、スピードが落ちやすい時間なので気をつける。
・微軽風では、船のヒールを利用してラフする。
・風向きがはっきりしない微風下では、クローズはどの向きかをあらかじめ意識して、ラフすれば、上り足らない、上りすぎを防ぐことができる。
○ロールタック
・極端に風が弱い時や艇の下受けをするクイックタックを除き、舵の使い過ぎに注意。ティラーの先がガンネルからでない程度を目安にしている。船はゆっくりとした軌道で回す。
・艇速が出ているときには、船は良く回るので、このような時にはなおさら舵の使い過ぎに注意。
・ロールタック後の体重移動は、船が起きすぎないように気をつける。スキッパーは様子を見ながら移動する余裕がほしいところ。また、新しい上側への移動とともにトラベラーを引きこむと効果的。
○ランニングへのベア
・できるだけ早くセールを広く展開する(サイドステーに当たるまで)ことが重要。そのためには、トラベラーを切る、メインシートを送り出すこと。
・風が弱い時には、いったん出たブームが戻ってこないように、スキッパーは風下側に体重をかけるなど、ウィスカアップ作業中にも船ができるだけすべるよう配慮する。
○ライニングでのジャイブ
・ベアと同様、ジャイブ後にブームを広く展開することが大事。
・ジャイブ時のロールでバテンを確実に返すよう、スキッパー、クルーのいずれかがメインのテークルを持つ。これは42条違反対策にもなる。
(各艇のセッティング確認)
参加10艇について、①ジブラフの全体長、②リグの張り具合、③ダイヤモンドステーの張り具合、④センター、ラダーのガタの有無を確認した。
① ジブラフの全体長: 4120~4160mmと差があった。豪のトップチームは4140mmの中央値付近にセット。日本でもチームの体重により差はあるが4140~4160mmが多いと思う。
② リグの張り具合:陸上でマストを立てた状態(サイドステーは1番前)で、ラフがかなりたるんだ状態の緩いセッティングの艇、軽くテンションが入っている艇、その中間くらいの3パターンに分けられた。緩い艇は、軽風でも上りでサイドステーを一番後ろに引いている。下りではかなりパワーが得られるとのことであった。一方、張っている艇は、風速に応じて徐々に後ろに引くようセットしている。田中の所感としては、緩い艇では順風およびそれ以上でジブラフのテンションが足らず、オーバーパワーになりやすいと思うので、軽量チームには厳しいと思う。
③ ダイヤモンドステーの張り具合: 張り具合はマストのベンド量を決める。緩い艇は、普通に握ってウィスカポールのアイでステーがマストにつく程度、マストに着かないくらい張っている艇もあった。グースネックからウィスカポールアイのあたりが最近の主流ではないか。
④ センター、ラダーのガタ: いずれの艇もセンターケースはきつく、ガタはないようにみえた。底側のカーペット部ですきまが生じている可能性があるので、横倒しした状態でもガタの有無を確認した方が良い。ラダーが水の抵抗などであがらぬよう、ショックコードのテークルなどを入れると良い。
(Q&A)
・上りではセンターはどの程度入れているか。
→起こしきれる風までは全部入れている。リーウェイが少ない気がする。江の島の練習会で行った情報交換では、佐藤艇もかなり入れているとのことだった。強風では、デッキレベルまで上げるという重量チームもある。
・クローズでのセンターの入れ方、つまり前後へスィングさせることはあるか。ないのであれば、現在のセンターケースのパットはかなり前後の余裕があるので、もっとせまくすべきではないか。
→基本的にまっすぐに入れている。微風でウェザーヘルムを出すために前にスィングさせることはある。
(以上)
報告:田中
◎ランニングへのベアのお話は、メインブロックを「HARKEN
返信削除57mmラチャマティック・シングル」に交換することでも改善されます。PSJで取り扱っております。但し、ロープ径が適正なものを使用する必要があります。太すぎるとアウトです。
◎ラダーの上がりは、ピボットボルトとナット(戻り止め機能のあるもの)を交換することでかなり防ぐことができます。ショックコードを入れることは次のクラスルールに根拠があります。このあたりは自由ではありませんので、誤解のないようにご紹介しておきます。
C2.3(b) ラダーのダウンホール用ラインにショックコードを含んでもよい。(以下省略)
◎センターケースのパッドは、クラスルールの規制がありますので、ご注意ください。
C3.4. センターケースにパッドを詰めてもよい。パッドはダガーボードを最適な摩擦によってフィットさせる厚さで、センターケースの長さにわたってほぼ均一の厚さでなければならない。
C2.4(n) ダガーボードを前向垂直に保つように制限する仕掛けは、衝撃的な力が加わった時にダガーボードが後ろに回転するのを妨げないよう十分に弾力的な材料、すなわちスポンジ、ゴム、スタイロフォーム等でできている限り用いることができる。また、この仕掛けはダガーボードの後縁から前に伸びてはならない。この仕掛けに弾力的でない材料を用いてはならない。センターケースのなかでリストリクター(ダガーボードを垂直に保つよう制限する仕掛けのこと)がある部分では、C.4.3で認められているパッドは、潰れたり取り除くことができる。