2010年10月13日水曜日

パーツ供給メーカーの統一について

2010年9月13日付けのChris Parkinson(WTC事務局)ら3名のメールにおいて、「パーツ供給メーカーの統一」の提案があったことは、このJTA通信において既報のとおりです(9月20日付け)。その後、WTCでは、各国からの意見が提出されています。以下のその概要を記します。英文メール本文はこちらを参照ください。

「パーツ供給メーカーの統一」についての意見

北米の意見①(NATA会長、WTC副会長Tony Norris)9月14日
・提案された部品を義務付けることに、断固、反対である。どの部品も船の性能に影響しない。また、提案から実施まで2ヶ月しかないことに非常に苛立たしく感じている。
・特に大反対なのは、プラスチック製のラダーガジョンである。壊れやすいからである。
・ラダーヘッドも高価な部品ということもあり、性能が優れているという点がなければ、採用すべきではない。
・グースネックは、旧型のブームに合うのか、新型の29er型のブームに合うのか。
・グースネックを取り付けるためのマストのドリル穴は、旧型のものと同じか。
・提案のラダーヘッドに合うガジョンは、北米仕様と同じか。
・提案のマストプラグは、古いマストに合うか。
・ローテーションストップやバング取り付け部品は、旧型のブームに合うのか。
・標準化を図るのであれば、船の性能を考慮した議論に基づくべきである。もし、今回の提案が設計者の経済的な都合によるものならば、新しく作るテーザーに付けてもらえばいい。設計者の経済的な都合によってクラスルールが左右されるべきではない。ブームについて言えば、29er型の新型のブームについての議論がまったくなかったが、今回の提案の部品よりはずっと大きい影響を持っている。
・北米ではテーザー人口が減っている。今回の提案を実施すると、新規のテーザー乗りを惹きつけないばかりか、古い船を持っていてレースに復帰しようとする人々を落胆させてしまうことになる。

北米の意見②(Jonathan McKee)9月22日
・Tony Norrisの意見にすべて賛成。新規の船の艤装を変えるのは設計者の自由である。ただし、すでに保有されている船のルールに適合した部品まで変えさせるべきではない。性能に影響をほとんど及ぼさないのに、新たに金をかけさせることをすべきではない。
・オーストラリアがテーザークラスの中心なのは承知しているが、このような問題には、北米の意見も聞いていただきたい。

日本の意見(JTA会長Haruyuki Yamamoto, JTA国際事務局Yoji Ishikawa)9月28日
・提案内容について詳細がわからないと判断できない。
・次の情報を提案したそれぞれの部品について提供していただきたい。
問題点、変更の理由、部品・供給メーカー選定の理由、競合品との比較、
価格、部品仕様と写真
・テーザー所有者に経済的な負荷をかけるので、慎重に検討したい。

諮問委員の意見(Richard Spencer)9月30日
・基本的に、各国で同じ部品が供給されることには賛成する。
・船の性能が変わらない条件での艤装の変更を認めている「クラスルール2.1.(a)」を改訂すべきである。
・プラスチックのラダーガジョンは、北米ではしばしば壊れているので、採用すべきではない。
・新しく出てきた29er型のブームは標準なのかどうか。提案されたバング取り付け部品は、旧型、新型のブームに合うのか。
・鋳造合金のラダーストックが壊れやすいことは考慮したのか。
・世界選手権での上位チームに部品の変更を課すルールは撤廃してほしい。クラスの発展に貢献しない。
・上記の理由で、現在の形のままでは提案に賛成しない。

オーストラリアの意見(ATC会長Michael Paynter)9月30日
・ATCの理事会に諮ったところ、以下の意見があった。
・プラスチックのラダーガジョンについては、心配の声が多かった。
・鋳造合金のラダーストックの信頼性についても心配の声があった。
・他の部品については、選択した理由を知りたいとか、性能や安全に影響しなければ必要ないのではないか、との意見もあった。
・その他、特にセールなどがそうだが、オーストラリア内では、他国に比べ高価なのではないか、との意見があった。
・提案したいことがある。一つは、2010年11月1日から実行に移すのは時期尚早ではないか、という点。二つ目は、テレビ会議などを使うなりして、WTC内で議論を尽くすべきと考える。

設計者の意見(Frank Bethwaite)10月4日
・Richard SpencerおよびMichael Paynterの意見を受けて、プラスチックラダーガジョンについての提案は取り下げることとする。

ヨーロッパの意見(UKTA会長John Tripp)10月7日
・パーツ供給メーカーの統一をしないとワンデザイン原則が守られないとしているところに問題がある。供給メーカーが複数あってもワンデザイン原則は守られる。地元のメーカーから供給できれば経済的である場合がある。
・設計者の経済的な都合を優先して今回の提案がされているのではないか?
・私の考えでは、今回の提案はワンデザイン原則を追及しているようには見えない。というのも、今回のリストでは、船の性能に影響を与えるような部品が触れられていないからである。たとえば、切り詰められた部品、細いロープ、バテン、ブーム、フォイル、ラダーストック。
・どのパーツが一般的なメーカーから得られ、どのパーツがテーザーに特殊なものなのか、そんなリストを見たかった。特殊なパーツについては、それが経済的だと思えば設計者から買えるし、望めばほかからも買えるような選択肢が与えられるべきだ。
・私の考えでは、目的、計画について合意をはかったうえで実行にうつすべきであり、それによってテーザーが存在するすべての地域で納得してもらえるようになる。オーストラリア以外の国々の人間が、テーザーはオーストラリアのボートなんだからと思ってしまうようだと、クラスの継続はおぼつかないし、ましてやオーストラリア以外の船を増やすこともできなくなるだろう。世界中どこでも供給パーツをひとつに統一してしまうようなことをすると、他のクラスに張り合っていくことはむずかしくなっていく。なぜなら、他のクラスでは、並のメーカーがパーツを製作できるようになっていて、地元で安く早く手に入れることができるからである。

WTC事務局のコメント(Chris Parkinson)10月4日
・いただいた意見をもとに、設計者などと再度議論する。
・実施に移す前に、かならずもう一度WTCメンバーに諮る。

                                     以上

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブログ アーカイブ