発議者によると、改正のプロセスを以下のように考えているようです。
・バッセルトン・ワールドでのメジャラー会議やワールドカウンシルミーティングで協議をスタートさせること。
・その後12~18か月の意見交換を経て、最終的な改正承認のための提案とするつもりであること。
・バッセルトンでの会議を、採決の機会とは考えていないこと。
本件は発議者が所属するTAV(テーザー ビクトリア)内での議論を踏まえて出された提案のようです。
連絡の経路は、発議者からチーフメジャラー(マイケル・カラス)とエグゼクティブセクレタリ(クリス・パーキンソン)へと提案が伝えられています。そしてエグゼクティブセクレタリから各国の代表者へ回付されました。
提案内容の原文はこちら(Wordファイル)になります。
提案の概略を以下に記します。
--ここから--------
まずTAVとしては、この変更の目的を以下の4点に置いています。
1)ボートを改良すること。
2)より多くのセーラーにとってより公平にすること。
3)コストを下げること。
4)大会の計測をシンプルにすること
変更点は7点になります。
1.ハッチカバー
変更点:ハッチカバーの種類について、ねじ込み式(threaded)との限定を水密(watertight)へ変更(C.2.2(e))。バヨネット式のハッチカバーの使用を認める( C.2.4(f))。(ただしこれまでどおりいずれにしても水密性が保てることが条件です。)
理由:バヨネットタイプのハッチの方が開閉が容易であること、力の弱いクルーではねじ込み式のハッチを十分に締められない可能性があること、など安全性に配慮した理由が挙げられています。
2.メインシートストロップ
変更点:ストロップの長さの制限を無くし、除去したり、またはラインに変更しても良いとする。(C.2.3(d))
理由:ストロップの長さはセーリングのパフォーマンスに影響せず、計測しても特に意味がない。
3.ダガーボードの流れ止め
変更点:ダガーボード(センターボード)流れ止めの装着を義務化する。ラインまたはショックコードをダガーボードに「取り付けてもよい」だったのが「取り付けなればならない」に変わります(C.4.2)。
理由:沈してひっくり返った時に、ダガーボードが抜け落ちる可能性があります。それを防止するためです。
またオーストラリアの国内規定 (Yachting Australia Special Regulations (Part 2) )との整合性を取る意味合いもあるようです。
4.クルーウェイト
変更点:クルーの合計体重が130kgに満たない艇が積むバラストについて、130kgとの差分か、最大4kgのどちらか少ない方にする(C.6.2; C.6.4)。
理由:クルーウェイトの最低重量130kgを維持しつつ、軽量チームのテーザーへの参加意欲を削ぐ要素を減らすこと、が挙げられています。
ハイレベルな競技への妥協を懸念する意見に配慮しながら、テーザーへの参加をより広めるためのバランスを図り、性別や年齢や体格ではなくセーリングスキルで競うというテーザークラスの活動を促進するのが意図だとされています。
またマイラーセールが採用されて以来、ウェイト補正のルールは変わっていないが、現在では最大のパフォーマンスを発揮する理想的な体重は135kgから145kgであることは十分な証拠があり、130kg以下のチームにアドバンテージは無い、と書かれています。
5.ジブシート・ラチェットブロック
変更点:ジブのフェアリードの代わりにシングルのラチェットブロックを認める(C.2.4(h)追加)。
理由:どのようなスキルのクルーでもより幅広いコンディションでより長くセイリングを堪能できるようにすることを意図しています。通常はクルーより力が強いであろうスキッパーのメインシートのトラベラーブロックには制限が無いのに対して、ジブシートではそうではない点を指摘しています。
6.ティラーの装着について
変更点:現行のC2.3(a)の文面から、最後の一文「この抜き差しには道具やドライバー、または特に大きな力を要するものであってはならない。」を削除してます。
理由:ラダーヘッドやティラーの保管上の問題だけで、安全性やパフォーマンスには影響が無いとされています。計測をシンプルにするとされています。
7.電子機器
変更点:現在のクラスルールの解釈を明文化し、新たな技術の制限を行うためです。現行の解釈として既に認められている(a) 時計と(b) コンパスに加えて、カメラとGPS端末を許可しようとしています。ただしいくつかの条件が付きます。
(b)電子コンパス ヘディング角度とタイマー機能に限ること
(c)カメラ 撮影された画像や動画が、プロモーションのためにテーザー協会側からの要請があった場合には、すぐに供用が可能であること。
(d)GPS レース実行委員会から提供された端末を使用していること。そして書き換え等の変更をしてはならず、レース中もレース間も航跡データを見られるようになっていないこと。
またこれらの機器で記録されたデータを、抗議の審問の証拠として採用するかは、レース実行委員会が事前に決める、とされています。
--ここまで--------
またこの提案に対して、クルーウェイトに関してはいくつかのフィードバックがあり、以下のようなオプション案が示されています。
これらの意見は限定的なレベルでの議論の結果であり、TAVとしての意見ではありません。
あくまでサンプルとして示された意見です。
原文とその概略を記します。
Maintaining Minimum Crew Weight
Reason for Change
This rule change is to reduce the additional stress burden imposed only on crews that are close to minimum weight. There is an unfair burden on crews close to minimum weight to attempt to predict any potential weight loss during a regatta and to compensate for it with additional ballast.
Current Rule
C.6.4 Each crew shall ensure they maintain a minimum weight of 130 kg at all times when racing.
Proposed Changes
C.6.4 Each crew shall ensure they conform with rule C.6.1 and C.6.2 at all times when racing.
Additional rule options:
Option A
If the total weight of a crew is less than 134 kg that crew can elect to carry an additional 1kg of ballast when racing at a sanctioned event and be deemed to have complied with Rule 6.4 at all times when racing. The 1kg shall be in addition to any other ballast required to meet minimum weight requirements (C6.2 or D3.1).
Option B
Upon reweighing during an event if the total crew weight is less than 130kg and the additional hull weight and ballast has been carried as required to meet the rules for the registration weight the crew will have been deemed to comply with the Tasar Class Rules if the total crew weight is within 3% of the registration weight.
変更案:
オプションA
134kgに満たないクルーは1kgの追加バラストを積むことでルール6.4に適合していると見做すことを選択できる。1kgのバラストはC6.2やD3.1で必要とされるバラストに加えて積まれなければならない。
オプションB
大会期間中の体重の再計測の時に、クルー合計体重が130kgを下回ったとしても、合計体重(の変動?)が登録時の重量の3%以内ならば、登録時の計測重量に合った超過艇重量又はバラストを積んでいればルールに適合していると見做す。
理由:最低重量に近いチームが抱える追加のストレスを減じることが目的である。レガッタ期間中に減る体重を予測し、その分の追加バラストを積まなければならないのは、軽量チームにとって不公平な負担である。
以上、お知らせいたします。
不明な点はJTAメジャラーまでお問い合わせください。
JTAメジャラー
軽部 竜也
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