メジャラーの軽部です。
次のオーストラリアで開催されるワールドテーザーカウンシル会議の議案とともに、ルール変更の提案が届きました。
提案の原文をこちらに掲載します。
(JTAからの回答案を追記しました 2014年12月29日)
次のオーストラリアで開催されるワールドテーザーカウンシル会議の議案とともに、ルール変更の提案が届きました。
提案の原文をこちらに掲載します。
(JTAからの回答案を追記しました 2014年12月29日)
- 提案の概要
内容は、クラスルールC1.5のセール上の国を示す文字およびセールナンバーのサイズに関することです。
現行のクラスルールではこれらの文字は
「高さ:300mm
幅 :200mm
太さ:50mm
隣接する数字の間隔およそ50mmでなければならない。」
となっています。
これを「RRSに示された仕様に適合しなければならない」と変更しようという提案です。
RRSでは、付則Gにセール上の識別に関する詳細が記されています。
それによるとテーザーのセールの文字のサイズの規定は以下のようになります。
最少高さ 300mm
文字間および、セールの端からの最少間隔 60mm
(付則G 1.2(b)より)
今回の提案にいたった経緯として、もともとこのクラスルールを定められた時は、当時のRRSに合わせる形になっていたようです。しかしその後、RRSの方が変更された時にクラスルールは変更されず、結果として現在、RRSとクラスルールで異なる部分が出来てしまったという状況のようです。
現在、ほとんどのセールメーカーで売られている文字やナンバーが、テーザーで使われるそれと合わなくなっていると書かれています。テーザーで使われるものが標準的でなくなっているというのです。
これを解消するのが今回の提案の目的となります。
またこのルール変更にあたっては、正規のクラスルール改正の手続きを採らず、ワールドカウンシル会議の席上で採決しようという提案も含まれています。クラスルールの本質的な変更ではなく、どちらかというと調整の意味合いが強いので、各リージョン(JTAなど)で投票するのではなく、会議の席上で決めてしまって良いのでは、という提案です。
- 検討ポイント
JTAではこの提案を理事会で検討し、回答をする予定です。
基本的には提案の経緯や意図も分かりますし、受け容れられる内容だと思います。
以下に私が想定する検討のポイントを示します。
・クラスルールとRRSの相違点
RRSに合わせようとすること自体は良いと思います。
これから販売されるセールに関しては、新しいルールに合わせてセールナンバー等が貼られるでしょうから、特に問題はないと思います。
ただし既に購入済みのセールに関しては注意が必要です。
現行のクラスルールとRRS付則Gを比較して、異なるのは文字(数字)の間隔です。
従来は「およそ50mm」だったものが、変更後のルールでは「最少60mm」になります。
既存のセールのナンバーがどのぐらいの間隔で貼られているのかは調査してみる必要がありますが、もし50mm程度の間隔で貼られていれば、その位置を貼り替える必要が出てきてしまいます。貼り替えるとセールのフィルムが剥がれてしまう可能性もありますので、この点については既存のセールについては適用除外するなどの措置が必要になってくるかもしれません。
実質的には50mmと60mmの違いが、セール番号の視認性にそれほど影響するとは思えません。ほとんど無視して良いレベルの問題にも思えます。
そもそもが既存のセールの貼り替えを意図したルール変更ではありませんので、この点が問題にならない方向で検討したいところです。
・クラスルールC1.2との関係
実はクラスルールC1.2にも、今回の変更案とほぼ同じ意味のことが書かれています。
よって、そもそも今回の変更案を付け加える必要はないのではないかとも思われます。
C1.2は以下のようになっています。
C.1.2 The national letters and the sail numbers shall comply with the RRS except where specified otherwise.
日本語訳:国を示す文字とセールナンバーは、異なる規定がない限りRRSに従わなければならない。
そして今回のC1.5の変更案は以下の通りです。
C.1.5 The national letters and sail numbers shall conform with the specifications detailed in the Racing Rules of Sailing
・JTAから提案したルール変更の扱いについて
セール上の文字のサイズに関しては、2011年のイギリスワールドの際のWTC会議で、クラスルールC1.5から「1」と「I」を除くことがJTAから提案され、その場で承認されていました。本来であれば既に発効されていても良いはずですが、どういうわけか現在のルールに組み込まれていません。今回のルール変更の提案を見る限りでは、2011年の決議が忘れられているような印象を受けます。
とは言え今回のルール変更によって、結果的に「1」と「I」の問題も解消されることになります。
・ルール改正の手順について
提案内容にもある通り、今回の変更はリージョンでの投票をせずに改正しようとしています。
この点に関しては、クラスの将来を左右するような変更ではないこと、JTAが提案した「1」と「I」のサイズの問題が解消されること、また速やかに実施が期待されることなどを考慮して、賛成しても良いのではと思われます。
- JTAからの回答案(2014年12月29日追記)
ワールドカウンシルでの協議に際し、JTAからは以下の内容で回答することになりました。
---C1.5の変更案に対するJTAからの回答-----
JTAはクリス氏からのC1.5の変更提案を歓迎する。
理由は現行の規定では、“1”と”I“の文字が適合しない状況が生じているためである。
セールに貼る文字や数字を、セールメーカーから販売されている標準的な規格に合わせること、またそのためにRRSの規定に合わせることに異存はないです。ただし以下の提案があります。
まず、提案された変更案と同じことがクラスルールC1.2に書かれているようです。
C1.5で繰り返す必要はないように思います。
次に、既に販売済みのセールが今後も有効であり、セーラーがセール番号を張り替える必要がないために、C1.5を次のように変えることを代案として提案します。
C1.5 隣接するセールナンバーの間隔はおよそ50mm以上でなければならない。
(現行のC1.5で、セール上の文字のサイズについて述べている、この他の文章は削除しても良い)
提案されたルール変更によって一部のセールが違反状態になることを懸念しています。
セールナンバーの間隔については、現在のクラスルールでは「およそ50mm」と規定されているのに対し、RRSに従うと「60mm以上」にすることが求められます(RRS G1.2(b)参照)。
日本ではセールナンバーの間隔が60mm以下で貼られたセールがあります。それらはセールナンバーを正しい位置に貼り替えない限り、ルール違反になってしまう可能性があります。
また、このルール変更が承認された後は、サプライヤーとも情報共有されることを望みます。
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本件に関する協議の結果は追って掲載いたします。
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